凡事徹底できていますか?
仕事のABCとして、
「当たり前のことをバカにせずちゃんとやる」
あるいは
「当たり前のことをバカになってちゃんとやる」
とよく言われます。
仕事ができる人は、凡事を疎かにしません。
凡事徹底が、企業のブランド価値やチームの生産性を高く保つことに貢献することにつながる。
実に当然のことかもしれませんが、日々を振り返っていかがでしょうか?
「社内での取り組みがなかなか浸透しません」
「社内ルールを作っても、うまく機能しません」
こういった悩みはよく耳にします。
しかし、日々当たり前のことがきちんと実施されていない組織なら、それは無理からぬことです。
当たり前のことを当たり前のように
私が帝国ホテルで学んだ事は数々あれど、「当たり前のことを当たり前のように、毎日全員がちゃんとする」ということの大切さ。
これが最も価値のある教えだったかもしれません。
なぜなら、当たり前の積み重ねこそが「一流」と言われる所以だからです。
企業理念や行動基準、社内ルール等、徹底すればこそ価値があるものです。
それらを社員が自分事として当たり前の水準に持っていくことができればいいのですが、残念ながらできない社員が多ければ、組織にとって所詮絵に描いた餅、あるいは、面倒事でしかないのです。
私の新入社員時代、企業理念は知ってはいても遠い存在で、正直よく理解もしていませんでした(汗)
ところが、中長期経営計画上の取り組みのひとつとして、全社的に企業理念の浸透に取り組んだ時期に、自分を含め組織に変化が訪れたのです。
当時の人材育成部では、研修でどのように理念を浸透させるのかに頭を悩ませていました。
階層別研修で理念のみならず社史や社会背景なども含めて講義を行っていたのですが、それだけでは、なかなか多くの社員が自分事として腹落ちするところまで持っていくことができませんでした。
今にして思えば当然のことなのですが、単発の出来事で何かが身につくなどということはあり得ません。
受け手の能力に期待しているだけではダメだ。
そう気づいたのです。
考えて言葉にして人に話す
「企業理念を今の仕事につなげると、これからどのようなことができそうですか?」
まずもって、日々自分の頭で考えるための時間を設けもらうことにしました。
各部門で企業理念に基づく行動基準をテーマに、始業時ミーティングで共有したり、月毎にテーマを決めて取り組んで発表したりと、地道な取り組みを仕組み化したのです。
そのことによって、ようやく、社員の間に企業理念が反映された行動を觀ることができるようになっていきました。
それまでは、自ら問いを立て、お互いの考えを共有する場がなかったのです。
抽象的な概念の理解は、お稽古事と似ています。
お茶ならお茶、お花ならお花で、門人同士が稽古内容について話し合う機会が多々あるわけです。
そういった場があるから、自分の考えを言葉にするから、人とディスカッションするから考えが深まって、自分の振る舞いとして身についていく。
それがなぜ、企業理念においてなされてこなかったのか。
日常の当たり前と企業活動。
具体的に扱う情報は異なりますが、人間心理や脳機能は同じなのですから、同じように扱えばよかったのです。
お仕着せで一過性のイベントなどではなく、コツコツ継続するプロセスが当たり前を当たり前にする。
考えてみれば自明のことですが、いざとなると思いつかないものですね(笑)
ちなみに、クレドで有名なリッツカールトンさんも始業時ミーティングで必ず全員が、クレドにまつわる考えを共有する時間を取ることを地道に行なっているそうです。
やはり、継続が一番。
何かを身につけようと思ったら、習慣化するしか手立てはないのです。