なぜ、先入観を持っているとコミュニケーションがうまく取れないのか?
帝国ホテルのフロントでの私の実例でケーススタディしてみましょう。
おもてなしを実践するには、「観察」「仮説」「寄り添う」「行動」の4つのステップが必要です。
お客様がエントランスから入られて、チェックインカウンターへ向かうその間、服装や荷物の量、歩く速さ、ベルマンとのやりとり等を「観察」します。
その観察から、どのような目的で来られているのかなどについて「仮説」を立てることができます。
そしてその「仮説」に基づき、お客様に「寄り添い」、そのうえで「行動する」。
これがおもてなしの実践には必須となります。
このプロセスで特に意識しなくてはならないのは「先入観を持たない」ことです。
例えば、
「あのお客様はいつも威圧的だからなぁ」
と思うと、
「苦手だから、とにかく早く終わらせよう…」
自分もそれに合わせたコミュニケーションを取ろうとしてしまいます。
その結果、より威圧的な対応をされてしまったことがありました。
この状態は、お客様とまともなコミュニケーションを取れていません。
そもそも、ろくに観察をしていないのですから当然です。
そこで、威圧的なお客様だと知っていたとしても、その先入観だけで接しないように意識を切り替えました。
するとどうなるか。
いつも威圧的だと思っていたお客様が、仕事前だからピリピリしていることがわかったり、またある時は、実は家族好きでしばしば旅行に行くことを知れたりしたのです。
その場、その時、ありのままのお客さまと向き合うことで初めて得られる情報が多々あるのです。
こうしたことは、日常のコミュニケーションでも同じことが言えるのではないでしょうか。
「この人はいつもこうだから」
「あの人は、絶対にこう思っているはずだから」
先入観で接してしまうと、得られる情報量が極端に減少するばかりか、事実を歪めてしまう可能性すらあります。
もちろん今までの経験から判断することは必ずしも間違いではありませんが、物事が日々変化するように、人も変化しているものです。
そうは言っても、先入観なく人と向き合うことは難しい…。
たしかに、そうかもしれません。
しかし、先入観という色眼鏡を通して自分を見られた時、気持ち悪さを感じませんか?
誰しも経験しているはずです。
であるならば、先入観を持たないように努力してみる価値はあるのではないでしょうか。
それに、先入観を持たずに接してくる相手に対しては、人としてきちんと向き合う姿勢があるという印象を持つものです。
そのような関係性の捉え方をすることが、接客レベルの向上には必須なのです。
お客様の声
大野講師の研修は一方的にやらされるものではなく、自ら興味を持って参加しやすい研修で気づきも多く、状況に合わせて丁寧にカスタマイズしてくださるので、また受けたいと大好評でした!
人事部長
石川 孝子 様